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2006年11月17日 (金)

邦楽レクチャー・コンサート(箏曲プログラム)

2006年11月17日(金)
新潟大学教育人間科学部附属養護学校

今日は、今年の箏のレクチャーコンサート最終日です。昨日のうちに私たちの楽器と、みんなに弾いてもらうための楽器20面は、附属小学校からお隣にある養護小学校へ移動させ、準備はすませていました。学校に入る前に、一恵先生の「海へ行こう!」というひとことで、すぐ近くの日本海が見える場所まで車を走らせました。日本海の向こうに見える佐渡の島影を眺めながら、みんなで「今年の締めくくりだし、今日は一恵先生のパワーに負けず、私たちもどんどん新潟のみんなに話しかけよう。まずはにっこり笑顔で、大きく手を振って入場だぁ!」と気持ちを高めて、いざ学校へ。
体育館には、興味津々の目、目、目……。60人の子どもたちに向かって「おはようございまーす!」と元気に挨拶すると、元気な声が返ってきました。うん、いい感じ。

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子どもたちは、一恵先生の「六段」に静まりかえり、アンサンブルの「鳥のように」も身動きせず、じっと聴いてくれました。そして、「焔」。一恵先生が「みんな一人ひとりの心の中に、炎があります。その火を、どんどん大きくしていってください」という言葉に続けて、私たちも「みんなに届け」という気持を込めて力いっぱい演奏。終わると、びっくりするくらい大きな拍手をもらって、とっても嬉しかった。

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続く「カエルのうた」では、みんなきちんと順番を守って交代で爪をはめ、箏の前に座ると、自分の手元から音が出ることが嬉しいようで、本当に楽しそうに弾いていました。
一恵先生のリードで "総合リハーサル"と"本番"を繰り返していると、気分が高まったのか、「僕が歌う!」とマイクを奪った少年が一人。その歌い方がまた激しくて、後半は「ゲーロ、ゲーロ…」とほとんどシャウト状態。後ろの席で見守っていた父兄たちにも大ウケで、俄然、会場が盛り上がりました。
弾いている子どもたちの様子を見ていたら「ギター。ギター」とつぶやく女の子がいました。言葉が少し不自由らしく、そばについていた先生が「箏の音が好きみたい。弦楽器だということはわかっているんだけど……」とおっしゃいます。楽器を気に入ってもらったことが嬉しくて、記憶に残してほしくて、手を取って弾きながら、「こと、だよ。こと。覚えていてね」と何度も繰り返してしまいました。
そんな感じで、1時間のレクチャーコンサートは「あっ!」という間に終了。みんな、自分の感覚をフルに使って楽しんでくれたみたいで、私たちも本当に楽しく、たくさんのものをみんなからいただきました。ありがとう。
幸運にも私は、去年に引き続きお手伝いさせていただいたのですが、今年、参加させていただいた四日間は、去年にもまして濃い時間であり、箏の音、箏という楽器が持つ不思議で大きな力、そして音楽の力を思い知らされた時間でもありました。
東京都立北養護学校では、重い障害を抱える生徒さんがいて、寝たままだったり、中には酸素ボンベを放せない子もいました。でも、みんなとても真剣に耳を傾け、一生懸命、箏に触ろうとしてくれました。質問コーナーでは「アンコール!!」と呼び声がかかり、私たちが「カエルのうた」を演奏すると、自然にみんなが歌い出し、最後は体育館をふるわせるくらいの大合唱に。熱い空気に包まれ、私たちもとっても熱くなりました。

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控え室に戻った一恵先生は、「耳が聞こえない子がいたんだけど、箏の口前の部分に頭を乗せたら、にっこり笑ったの。先生がびっくりしていましたよ。振動で音を聞くことができたんだね」とおっしゃいました。
「音楽は、ふだん使っていない細胞や回路も、開かせてしまうことができるのよ。それは、障害があってもなくても、みんなに同じように作用する。そんなことができるから、音楽はすごい」
一恵先生の言葉に大きくうなづいてしまいました。音楽になる以前の、空気をふるわせて人から人に伝わる「音」の原点を、たくさんの子どもたちの笑顔から教えられたように思います。
こんな素敵な出会い、大切な時間を子どもたちや先生方と共有できる機会を与えてくださった五嶋みどりさんに、アンサンブル一同、心から感謝しています。本当にありがとうございます。そして、これからももっと広く、たくさんの子どもたちに音楽の力を伝えていってください。

小畑智恵(さわい箏アンサンブル) 

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