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2007年11月15日 (木)

邦楽レクチャー・コンサート&マスタークラス(箏曲プログラム)

2007年11月14日(水)・15日(木)訪問
青森県立青森若葉養護学校

<マスタークラス>

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暖房でほんのり暖かいアリーナに入ると、そこにはもう立奏台に乗った26面の箏がずらりと並び、学校の箏担当の先生方が既に調弦をしていらっしゃるではありませんか!

体が弱い子どもたちが学ぶ青森若葉養護学校では7年前から授業や時間外の活動でお箏に取り組んでおり、並んでいた楽器のほぼすべてが学校のもの。そしてこの日、参加してくださった26人の先生のうち、青森市内の養護・盲学校の先生4人を除けば、若葉養護学校の先生方が勢ぞろいしてくださり、学校を挙げてレクチャーコンサートを楽しみにしていてくださいました。基本的に生徒の数が少ないので、合奏のときには先生方が二箏を担当されるなど、箏を弾いた経験のある先生が多いという「特殊事情」もある今回のレクチャー。どうなることかと見ていたら……。

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沢井一恵先生の「六段の調べ」に深く耳を傾け、アンサンブルも交えた「焔」の後には「私も(スティックで弦を)たたいてみたい!」と好奇心全開の先生が複数登場。
そんな勢いに乗るように、実際に弾いていただく時間になると、初めて箏に触れる先生も少なくなかったにもかかわらず進み方が早いこと、早いこと。

親指、あるいは3の指で1本ずつ弦を上降、下降する基本的なパターンも、一恵先生は「もう少し速く」とどんどんテンポを上げ、「えーっ?」と驚きながらも遅れないよう必死に弾く先生方。かと思えば、音をぴたりと止め、「今弾いた音はどこに広がっていますか」と一恵先生が静かに問いかけると、音の粒の居場所を探してアリーナの天井や隅を見上げる先生方。その後の練習では、テンポが上がっても、26人の音はあまりズレなくなりました。

「音を聴くこと」に意識を向けることで、一気に耳を開かせる「一恵先生マジック」 に包まれ、あっという間に1時間半のレクチャーは終了。参加した先生方は、弾くことと聴くことの楽しさを存分に味わっていただけたようで、私たちもとても気持ちの いい楽しい時間を過ごさせていただきました。

<レクチャーコンサート>
外気温が15度もあった前日から一転、この日は冷たい雨交じりの風が吹き、上着の襟を立てなければ歩けないような寒さに。こんな天気は、体が弱い若葉養護学校の生徒たちにとって「なかなか学校に行けない日」となることが多いので、「さて、何人がアリーナに集まってくれるかなぁ」とちょっぴり心配な気持ちで学校に向かいました。
ところが!レクチャーコンサートが始まる時間が近づくと、子どもたちの足音が次々聞こえ、アリーナからは早くも箏の音が……。覗いてみると、小学部から高等部までのほぼ全員にあたる20人もの生徒たちが、箏の前にきちんと座っているではありませんか!なんて嬉しい誤算!!
沢井一恵先生はじめ、アンサンブルのメンバーが生徒たちの前に走り出て、さあ、レクチャーコンサートの始まりです。「鳥のように」の群奏、一恵先生の「六段の調べ」を、小さな子どもたちも身じろぎせず聞き入っていました。十七弦を含む6人で演奏した「焔」の激しさには、目を見張っているようでした。
ここで、いつもとは違うプログラムの登場です。月に数回、箏の授業を行い、これまでに沢井忠夫先生の曲を数曲弾いてきた若葉らしく、「花筏」を生徒と先生方が披露してくれたのです。ほんの2、3回しか練習の時間が取れなかったとのことですが、どうしてどうして。1箏と2箏がきちんとかみあい、綺麗に弾けていました。そこで私たちアンサンブルも加えてもらい、30人ほどの大合奏がアリーナに響きました。忠夫先生の曲を一緒に合奏できて、とっても嬉しかった。
最後は「かえるの唄」の体験演奏。日ごろ、箏の授業に出ることができず、初めて箏の前に座った生徒さんもいました。でも、一恵先生が「とにかくちょっとでもいいから触ってみましょう!」と明るく声を掛け、アンサンブルメンバーと一緒に有無を言わさず調弦を「かえる調子(?)」に直し、「触れば音が出るよ!」とけしかける。誘われるように次々渦巻く「かえるの唄」……。
この日も“一恵先生マジック”のおかげで全員が弾いてくれて、私たちも大感激!
最後には、初めてお爪をはめた校長先生と教頭先生を交えての大合奏が実現し、弾き終わったみんなの顔は笑顔、笑顔、笑顔……。「弾けば楽しくなるかえるの唄」の底力を見た思いでした。

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楽しい時間は瞬く間に過ぎました。代表の生徒さんがメモを見ずに、1曲1曲の感想を自分の言葉で伝えてくれたことに感激。小学部の男の子が小さな体いっぱいで「きょうは、ことをひいてくれてありがとう」という言葉と一緒に、一恵先生の感謝の花束を差し出してくれて、これまた大感激。さらに、花束を受け取ろうとしゃがんだ一恵先生のほっぺに、「チュー」のプレゼントまで! なかなか終わらない熱烈な「チュー」に、アリーナ中が沸きました。
「こんな感激、感動があるから、音楽はやめられないのよ」そんな一恵先生の言葉がとっても身に染みた2日間でした。
準備に時間を掛けてくださった若葉養護学校の先生方、本当に本当にありがとうございました。どうか、若葉養護学校にいつまでも箏の音が響きますように……。

小畑智恵(さわい箏アンサンブル)

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