三津屋小学校を訪問して
2010年10月25日(月) 大阪市立三津屋小学校
<声楽プログラム>
鮫島有美子(ソプラノ)、小川典子(ピアノ)
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ミュージック・シェアリングの三津屋小学校訪問は、たいへんに心温まるものだった。学校は、私が思い描く「大阪」そのままの町並みのなかにある。校庭を囲むように建つ、回廊式の校舎に独特の風情があり、そこで学ぶ児童たちは、制服姿。私たちは昭和映画の世界に迷い込んだかしら、というような気持ちになった。
ソプラノ鮫島有美子さんの、児童たちに接する様子は、自然体の優しさに満ちている。その鮫島さんの問いかけに答える児童の姿が、なんとも微笑ましい。まずは、リハーサルの一部を紹介する低学年対象のミニコンサート。お人形のように小さくて可愛らしい小学1、2、3年生は、素直な気持ちで鮫島さんの美しい姿に見入っていた様子。ピアノソロも、たいへん静かに聴いてくれ、音楽鑑賞のきちんとしたマナーが低学年までしっかり行き届いた小学校、との印象を受けた。
鮫島さんの問いかけに元気よく手を挙げる子どもたち
高学年対象のミュージック・シェアリング演奏会本番には、高学年児童の代表が控え室まで迎えに来てくれて、手をつないで会場へ。プログラムにある武満徹のソングなどは、小学生には初めての歌もあったはずだが、実に熱心に鮫島さんの歌声に耳を傾けてくれた。
三津屋小学校で私たちが最も心を打たれたのは、三津屋小学校児童の合唱だ。その歌声は、高い音域もきれいに澄みきっていて、天空に届くのでは、と思わせる透明な美しさ。児童ひとりひとりが、ニコニコと、明るい晴れやかな顔で歌ってくれ、まさにミュージック・シェアリング…音楽の場を分かち合う…と言う主旨にふさわしい、素晴らしい演奏会となった。
小川典子(ピアノ)(10月25日記)
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