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2011年10月

2011年10月14日 (金)

病棟に響く日本の音色

2011年10月14日(金)訪問 大阪市立総合医療センター

<雅楽プログラム>
石川高(笙)、中村仁美(篳篥)、八木千暁(龍笛)

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東京は晴れていたのに、新幹線で西に向かううちにお天気が崩れてきて、大阪ではかなりの雨です。
大阪市立医療センターの7階につくと、スタッフの方々がにこやかに出迎えてくださいました。

装束を着た私たち3人は、まずは6階の廊下スペースで、次に7階で、と2回演奏させていただきました。
雅楽を聴くのは初めて、という子どもたちとお母さんがほとんど。
間近で大きな音を出して、ちょっとびっくりしたかもしれませんが、何か聴きなれないけど面白い(変な?)音・・・・という感じで皆さん、しっかり見て聴いてくれました。
ベビーカーの赤ちゃんもいたので、泣いちゃわないかな?とちょっと心配したのですが、身体でいろいろ反応してくれて嬉しかった。
篳篥の葦舌(リード)だけで、音を上下に滑らかに吹いてみたりすると、目を丸くしてくれる子もいました。
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楽器に触れる時間も設けました

今回は、歌ものも聞いていただきたいなあ、ということで、朗詠「嘉辰」を歌ってみました。
ゆったりと声を延ばす日本古来の歌。子どもたちにはどう聞こえたのかしら?
楽しい今風の歌とは違って、もしかしたら物悲しげに聞こえたかもしれないけれど、しっとりした節回しの美しさを感じてもらえたらよいなあと思いました。

舞楽の時には、踊りが大好きという感じの小さな女の子たちが、一生懸命真似てポーズを決めてくれたのが印象的でした。
大きな子たちはちょっと恥ずかしそうでしたが、皆さんの歌う「春鶯囀」の唱歌に合わせて舞わせていただけて、楽しかった。
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千数百年の時を生き抜いてきた雅楽の楽器のエネルギーを、それぞれの体で受け止めてくれていたと思います。
聴いて歌って、舞ってくださってどうもありがとう!

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子どもたちから手作りのメダルをもらいました

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終演後に

中村仁美(篳篥)

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2011年10月 7日 (金)

音楽の力

2011年10月7日(金)訪問 神奈川県立こども医療センター

<雅楽プログラム>
石川高(笙)、中村仁美(篳篥)、八木千暁(龍笛)

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爽やかな秋晴れの日、雅楽のメンバーと一緒に神奈川県立こども医療センターへやってきました。
私にとっては、今年6月にみどりたちカルテットのメンバーとお邪魔して以来、約4か月ぶりの訪問です。

今回は雅楽のメンバーが院内3ケ所でコンサートを実施しました。
まずは乳幼児が入院する病棟、続いて学童期のお子さんたちが入院する病棟を訪問です。
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龍笛にはいくつ指あながあるかな?

変わった音がしたー!
おっきい音だった!
子どもたちからはそんな感想が聞こえてきました。
3人の演奏家が纏った装束に驚いている子もいました。

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病棟の一角にあるプレイルームに集まって演奏を聴く子どもたち

最後は外来患者さんたちの総合待合スペースで演奏。
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雅楽の訪問コンサートでいつも実施している楽器体験ですが・・・
今回は感染症の心配などがあったため、病棟でも総合待合でも楽器に触れるだけに留めました。
子どもたちに吹いてもらうことができず心残りがありますが、日本には1000年以上も昔からこんな音楽があるということを体感する機会を提供できたのではないかと思っています。病気と闘う日々の中、ほんのひと時でも日常とは違う時間を過ごすお手伝いができていたら嬉しいです。
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総合待合でのコンサートの時、演奏が始まる前まで泣いていた赤ちゃんが、音楽が始まったとたんに泣きやんだのだと教えてくださった方がいらっしゃいました。
ICEPカンボジアツアーに同行した時にも、子ども病院で同じようなことがあったなぁと思い出し、音楽が持つ力を改めて感じた1日でした。

赤石衣里(ミュージック・シェアリング)

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2011年10月 3日 (月)

僕の原点

2011年10月3日(月)訪問 佐野市立葛生小学校

<訪問した演奏家>
三浦一馬(バンドネオン)

ミュージック・シェアリングの活動に初参加の三浦一馬さんによるツアー日記です。

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空は高く、金木犀が香る気持ちの良い10 月の午後、僕は車を走らせ、栃木県佐野市に位置する葛生小学校へとやってきた。
出迎えてくださったのは、大髙校長先生をはじめとする先生方。廊下ですれ違う生徒さんもみんな、初対面の僕に元気に挨拶してくれる。やっぱり、こういうのはとても気持ちがいいなぁ。
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控え室となった会議室で最後のチェック・調整をしていると、ノックの音がする。生徒さんが2人、僕を呼びに来てくれたのだ。綺麗に手入れされた校庭の植え込みを横目に見ながら、渡り廊下を通って体育館の前まで移動する。普段のコンサートも同じだけれど、この瞬間にコンセントレーション、精神統一をする。そして、今日のような学校訪問や講演をするときは特に、「如何に、聴く人にとって等身大のこととして伝えるか」ということを一番に考える。

今日の対象は、高学年にあたる4~6 年生のみなさん。まずは演奏を聴いてもらおう。
恐らくは全員が初めて見るであろうバンドネオン。演奏に入り込んでいても、好奇心に溢れた視線はありありと感じることができる。1 曲目からこうして熱心に聞いてくれるのはとても嬉しい。考えてみれば、僕も小学校4年生のときに初めてバンドネオンを聴いて、「この楽器をやりたい!」と思ったんだっけ。
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ここで、学校訪問では必ず行っている、バンドネオンの「解体ショー」(楽器の分解)のコーナー。見た目にも不思議なバンドネオンの中身・構造がどうなっているのか見てもらう。ここでも生徒さんからは「わー!」という嬉しい反応が。
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普段は中学校や高校への訪問が多いこともあり、そこからバンドネオンの起源やタンゴという音楽について、更にアルゼンチンの文化などにも踏み込んだ発展的な話をするのだが、今回は僕がバンドネオンと出逢ったときのことや、それ以降どのように歩んできたのかといことを中心に据え、演奏を交えたり、また、スクリーンに投影した写真を使ったりしながら、ささやかながらの“自分史”を話させていただいた。まさに僕がバンドネオンをはじめたのと同じ年代、少しでも何かを感じてくれれば、と思ったのだ。

僕が事あるごとに言うのは、「実は全てが繋がっている。そして、そのことは決して特別なことではない」ということ。バンドネオンをはじめた10 歳のときから今日までというのは、一つひとつを積み重ねてきた結果であり、その度に応援してくれる人がいた。それは誰しもが同じで、だからこそ、たった一つのことでいいから自分の好きなことやり“続けて”欲しいと、拙いながらも僕からの願いとしてお話した。
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生徒からの質問コーナーで、「弾いてみてもいいですか!?」と、とびっきりの笑顔で聞いてくれた子がいた。前に出てきてもらい、バンドネオンを持たせると…楽器がとても大きく見える。
僕も昔は大きなバンドネオンを一生懸命弾いていて、椅子が高すぎるため、重ねた電話帳を足台にしていたことを、このとき鮮やかに思い出した。
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「大人の音楽」― 特にタンゴなどはそう呼ばれることが多いけれど、こうして子どもたちの前で演奏をすると、そんなものは関係ないのだと改めて気づく。どんな音楽であろうと、それが素晴らしいものであるならば、彼らは目を輝かせて真剣に聴いてくれる。そう、10 歳の僕がそうであったように。

日々の忙しさに追われてつい忘れがちなその気持ち― 僕の“原点” ― を、今回の学校訪問でも確かめることができた気がしている。

三浦一馬(バンドネオン)

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佐野市立葛生小学校では、2010~2011年度の2年にわたり、計4回(ギター、雅楽、弦楽四重奏、バンドネオン)の訪問コンサートを実施しました。
当プログラムにご協力いただいた皆様にこの場を借りて御礼申し上げます。

ミュージック・シェアリング事務局

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