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2015年10月30日 (金)

全身で感じる筝の音色~東京都立志村学園 筝曲~

2015年10月26日 訪問コンサート

東京都立志村学園
肢体不自由教育部門

<訪問した演奏家>
沢井一恵(筝)
さわい筝アンサンブル

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*さわい筝アンサンブルのメンバーより、文章を寄せていただきました。


2015年10月26日(月)、東京都立志村学園を訪問いたしました。私自身、訪問コンサートに参加させて頂くのは初めてのこと。つい数年前まで生徒として鑑賞する側だった自分が、先輩方に混じって演奏することになるとは。楽しみなような緊張するような心地で伺いました。

学校は高台の上にあり、着いてまず見渡せる景色に感嘆しました。敷地は広大で建物もゆとりを持って造られており、廊下には陽の光がさんさんと降り注ぐ明るい校舎でした。

コンサートの会場は体育館。その近くの教室が控室となっており、生徒代表の3名が迎えに来てくださいました。3人とも車椅子でしたが、先生に窘められてしまうほど元気一杯にワクワクを伝えてくれました。

1曲目は沢井一恵先生による「六段」。

演奏前に一恵先生が「声を出したくなったら、出していいです。体を動かしたくなったら、動かしていいです。眠くなったら寝ていいです。みんなの反応に、私たちは元気を貰えることでしょう。」とおっしゃっていたのですが、箏の音色に素直な反応を示す生徒さんたちの様子に本当にその通りだと思いました。六段の曲の盛り上がりに合わせて発せられる声も増え、さながら声明(しょうみょう)のように感じるほどでした。

2曲目は、アンサンブルメンバーで「鳥のように」。

今回の生徒はほとんどが車椅子、中には座ることすらままならない状態の子もいましたが、「私たちは飛べないけれど、もし鳥のように大空をかけることが出来たのならば」という曲に込められた想いを一緒に感じてくれたようです。

3曲目は「独奏十七絃と箏群のために 焔」。


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あまりの迫力に皆ビックリ。スティックが出てきて楽器をたたき出すと、途端に目が点になっていました。

演奏の後は実際に箏を触って体験してもらいました。

「やりたい人」と聞くと何人も威勢よく挙手をしてくれ、嬉しかったです。前に出て弾くことが出来ない生徒も多かったので、傍まで箏を持ってまわりました。たとえ指の力が弱く撥絃が難しくても、爪をつけることすら難しくても、意識が朦朧としていても、絃や木の感触などを通してそれぞれのやり方で、箏という楽器を感じてくれました。結果として生徒全員が箏に触れることが出来ました。


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最後は質問コーナーでした。最初に質問してくれた生徒さんからは「また弾きたいです。また来てください。」なんて嬉しい言葉を頂きました。箏を触った印象から「弾いていて手が痛くならないんですか?」というものも。「お箏はいくらで買えますか?」「いつごろ出来たのですか?」「何の素材で出来ていますか?」など、鋭い質問がいくつも飛び出しました。

今回のコンサートを通して、生徒の皆さんの感受性の豊かさに何度も感心させられました。身体が不自由であっても、十分に言葉を話せなかったとしても、むしろその分出てくるものは驚くほどストレートでした。身体で、心で、全身を通して目の前のことを感じようとする姿には、むしろ私たちの方が学ぶことが多かったように思います。

志村学園の生徒の皆さん、先生方と共に貴重な経験をさせて頂き、本当に有難うございました。


(さわい筝アンサンブル 本橋樹里)

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