今日のよき日~国立病院機構米沢病院 雅楽~
2015年10月29日 訪問コンサート
国立病院機構米沢病院
<訪問した演奏家>
石川 高(笙)
中村 仁美(篳篥)
八木 千暁(龍笛)
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*龍笛の八木さんご本人より、文章を寄せていただきました。
秋深まる山形県米沢市「国立病院機構米沢病院」に参りました。
演奏会場へ到着すると、職員の皆様力作の看板が私達を迎えてくれました。
控室で準備中、皆さんの様子がドア越しに聞こえてきました。会場は満員、80名余りの患者さんと先生方、職員の方々が集まっていました。
「平調音取(ひょうじょうのねとり)」、「越殿楽(えてんらく)」で演奏会のスタートです。
私たちが「五常楽(ごしょうらく)」の演奏をしながら皆さんの中に入っていくと、篳篥(ひちりき)の大きな音色にびっくりしたり、演奏に合わせて体を動かしたり、初めての雅楽の音色、生の迫力を楽しんでいただきました。
雅楽の歌物(うたいもの)、朗詠(ろうえい)「嘉辰(かしん)」、舞楽の代表曲「陵王(りょうおう)」も聞いていただきました。
質問コーナーでは、「一日どのくらい練習するのですか」「宮中と関係があるのですか」「雅楽はゆったりとした音楽だと思ったのですが、陵王は少し違うイメージに聞こえました」など鋭い質問に、答えに苦労する場面もありました。
最後に病院長先生より「雅楽は古来より、世の太平を願って演奏されたこともあり、『嘉辰』の歌詞に"今日のよき日、人生は楽しみなかばである"とあるように、人生を楽しみましょう」と温かいお言葉がありました。
その後、病室から移動できない患者さんの所でロビーコンサート、病室でのミニコンサートをいたしました。
皆さんとても熱心に聴いて下さり、楽しく充実した時間を過ごしました。
雅楽は宮廷の芸能として大成し、様々な人々の思いや、長く伝承されてきた歴史が込められています。病院長先生のお言葉のように、私たちの演奏でより多くの方々に感動や喜びを届ける活動をしていきたいと思います。
(龍笛 八木千暁)
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