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2019年10月

2019年10月29日 (火)

~コンサート情報~

訪問プログラム協力アーティストの石川高さん(笙)、
中村仁美さん(篳篥)、八木千暁さん(龍笛)が所属する
伶楽舎の皆さんによるコンサートが開催されますので、
ご紹介いたします。

 

ご興味のある方、是非、足をお運びください。

 

11/9土 14:00~国立劇場11月雅楽公演「雅楽-アジアの響き-」

・海を渡って日本へ:唐楽「萬歳楽」「陪臚」、高麗楽「八仙破・急」、催馬楽「席田」など

・シルクロードから日本へ:「番假崇」「曹娘褌脱」(芝祐靖復曲)

前半は、あまり演奏される機会のない呂の催馬楽「席田」や高麗楽の管絃での演奏など。後半は、今、正倉院展で展示されている、五絃琵琶、阮咸、排簫や、箜篌、方響などを国立劇場が復元した楽器を使用します。

https://www.ntj.jac.go.jp/schedule/kokuritsu_s/2019/9137.html?lan=

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1/6月午後の部14:30~、夜の部19:30~ 伶楽舎雅楽コンサートno.36

芝祐靖復曲 盤渉参軍 全曲演奏会

午後の部:盤渉調音取、盤渉参軍序一帖~十三帖

夜の部:盤渉参軍破一帖~十帖、急(参軍頌 芝祐靖作曲)

場所:四谷区民ホール

*源博雅編纂の「新撰楽譜」記載の長大な大曲「盤渉参軍」。5時間近くかかるので、午後と夜に分けて演奏します。

芝先生が初めて国立劇場委嘱で復曲に取り組まれた曲で、小曲ごとに拍子を変えて工夫されています。

https://reigakusha.com/home/sponsorship/3419

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2019年10月15日 (火)

びわこ学園医療福祉センター野洲/雅楽訪問コンサート

9月30日(月)には

びわこ学園医療福祉センター野洲

を訪問しました!

 

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2019年930日(月)

雅楽訪問コンサート

びわこ学園医療福祉センター野洲

 

<訪問した演奏家>

石川高(笙)

中村仁美(篳篥)

八木千暁(龍笛)

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↓演奏者の石川高さんより、

  文章を寄せていただきました。

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今までは、「野洲」を「やす」と読むことさえ知らなかった私でしたが、駅を降り、お迎えに来ていただいた自動車から外を眺めていると、あまりにも美しい景色の広がりに目を奪われました。穏やかな姿の山を背景に、森の樹々は陽の光を受けて透きとおるように輝いています。そのむこうには静かな池が観えてきて、心を落ち着かせてくれます。銅鐸博物館もありました。演奏会の後、もう一日ここで過ごしたくなる気持です。

 

さて、学園につきました。大きな平屋の建物が廊下でつながる、自由な雰囲気の素晴しい建築です。

そして準備を終え、いよいよ演奏会の時間です。

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職員の廣谷さんに導いていただき、皆さんの集まる部屋に、演奏しながら入ってゆきますと、好奇心溢れるまなざしや、活きいきとした笑顔と歓声で迎えてくださいました。「秋の夕日に、照る山もみじ」と、篳篥と一緒に歌いましたね。越殿楽を演奏しながら皆様の間を歩くと、手を打って楽しんだり、瞳を凝らして楽器を観ていたり、ちょっと恥ずかしくてうつむき加減の人もいて、個性豊かな反応に、とてもうれしくなりました。

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それぞれの御部屋にもうかがいました。雅楽の響きは大きいので、皆様を驚かせてしまうのではと心配でしたが、だいじょうぶでした。近づいてくる音に、顔を上げてくださるその瞳と向き合い、楽しい心の交流がありました。

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演奏が終り、控室に続く廊下を歩いていると、たくさんの不思議な形の粘土作品が展示してありました。粘土の深い色あいと、独特な形が調和して、迫力ある存在感で立ち上がっていました。

 

そしてお別れのときです。学園の向こうに、美しい三上山がそびえていました。近江富士と呼ばれているそうですね。もうじき紅葉の季節です。いつか再び訪れたいと思いました。

 

(石川高)

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2019年10月11日 (金)

淀川キリスト教病院/雅楽訪問コンサート

103日(木)には

淀川キリスト教病院を訪問しました!

 

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2019103日(木)

雅楽訪問コンサート

淀川キリスト教病院

 

<訪問した演奏家>

石川高(笙)

中村仁美(篳篥)

八木千暁(龍笛)

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演奏者の八木千暁さんより、
  文章を寄せていただきました。
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淀川キリスト教病院 

 

大阪市にある淀川キリスト教病院を訪問しました。

コンサートは院内のチャペルでした。チャペルの天井は高く、壁面にあるパイプオルガンのパイプは、笙(しょう)の竹管のようにきれいに並んでいます。日本の伝統音楽の雅楽も、神聖な場所で仲よく響きそうです。Dsc_2498 Dsc_2506

まず「春鶯囀」(しゅんのうでん)の「遊声」(ゆうせい)を演奏しました。遊声はフリーリズムの小曲、その響きは鶯のさえずりを模したと言われています。

次に雅楽の管楽器を演奏する基礎、唱歌(しょうが)を体験していただきました。篳篥(ひちりき)の唱歌のポイントは、塩梅(えんばい)をしっかり習得し、それをトレースして演奏することです。唱歌を体験していただいた後に、「越殿楽」を演奏しました。Dsc_2497 Dsc_2496

越殿楽は現在、最も知られる雅楽曲で、管絃楽のみで演奏されます。龍笛(りゅうてき)のソロからはじまり合奏になりますが、唱歌を歌っていただいたので楽曲が親しみやすくなったのではないでしょうか。※管絃楽:管楽器と箏、琵琶、打楽器による合奏

雅楽の中には、舞楽(ぶがく)や歌物(うたいもの)もあります。

平安貴族もたしなまれた歌物、朗詠(ろうえい)の「嘉辰」(かしん)を演奏しました。

「嘉辰令月 歓無極 萬歳千秋 楽未央」

今日の良き日、喜びは極まりなく、楽しみは尽きることはありませんようにと願い、斉唱しました。

最後に奈良時代、林邑(りんゆう)の僧、仏哲(ぶってつ)により日本に伝えられたという「陪臚」(ばいろ)を演奏しました。

院内のロビーや病室へも訪問し、多くの方に雅楽をお聞きいただきました。Dsc_2536

音楽の響きは時代、国境、宗教を越え、私たちに多くの喜びや楽しみをもたらしてくれます。

お聞きいただきました皆様の平安を心よりお祈りいたします。

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大阪府立藤井寺支援学校/雅楽訪問コンサート

今年度も秋の訪問コンサートが始まりました!

秋の訪問コンサートでは6月にカルテットで訪問した施設に

雅楽、オーボエ、ギター、筝といった楽器が訪問します。

 

104()には、大阪府立藤井寺支援学校を訪れ

雅楽の訪問コンサートを実施しました!

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2019104日(金)

雅楽訪問コンサート

大阪府立藤井寺支援学校

 

<訪問した演奏家>

石川高(笙)

中村仁美(篳篥)

八木千暁(龍笛)

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演奏者の中村仁美さんより、
  文章を寄せていただきました。
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前日の雨も上がり、まぶしい陽射しの中、藤井寺支援学校へ向かいました。

楽屋として使わせていただく音楽室に入ると、まず目に入ったのが長さの違う長いパイプをぶら下げた楽器。これはもしや!と、のど自慢の番組で聞く例の鐘のメロディーを叩いて喜んでいたところ、こんなのもありますよ、と出てきたのが、なんとインドネシアのガムラン音楽で使うグンデルという楽器。手作りです! Img_20191004_090926 Img_20191004_090938

スレンドロ音階という不思議な音階に調律されていて本格的な響き。これを叩けばフワーっと違う国の空気が流れてきそう。なかなか買えない楽器をこんな風に手作りして、世界の音を子どもたちに伝えてくれる先生がいらっしゃるなんて、すごいなあ!と感動しました。

 

今日は高校生50人程が対象のレクチャーコンサートです。2_20191010185101

 

まずは車椅子の女の子二人がお迎えに来てくださり、演奏しながら歩いて登場。雅楽や楽器の説明、唱歌を歌う体験、楽器を吹く体験、舞に合わせて体を動かしてみる体験などを交えながら「春鶯囀遊声」「胡飲酒破」「越天楽」などの演奏を聞いていただきました。4_20191010185101 3_20191010185201

 

 最後の質問の時には装束についての疑問が沢山出てきました。どうして頭に烏帽子をかぶっているのか? 色の意味はあるのか?など。私たちの来ている装束は、着物よりも古い時代のものですから、疑問が沢山ありますよね。烏帽子をかぶってみた感想はどうでしたか?

楽器についても、どうして笙は温めなければいけないのか、という突っ込んだ質問をありがとうございました。6

 

被り物が苦手なのでちょっと遠くに離れて聴いていてくれる子、耳を手でふさいで調整しながらもずっと聞いてくれる子、目は合わなくても体で感じながら聴いていてくれる子、ずーっとニコニコ楽しく過ごしてくれる子、一人ひとり聴き方感じ方が違うのが当たり前だということに改めて気づきます。

 思い切り吹いてみたら篳篥の音が出てびっくり喜ぶ顔、先生が吹きながら楽器の振動を子どもの手に伝えてくれている様子が印象に残りました。素敵な時間を一緒に過ごしてくださってありがとうございました。

 

中村仁美

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